難解な心地よさ『去年マリエンバートで』感想

映画に詳しい友人に観た方が良いよ、と言われて、恵比寿ガーデンシネマで映画『去年マリエンバートで』を観賞してきた。

本作は1960年代に作られた作品のデジタルリマスター版。白黒だけど、4Kだけあって画面はきれいだった。ヨーロッパの高級ホテルが舞台のフランス語映画。登場人物が着ている服をココ・シャネルがデザインしたことでも有名だ。

けれど、問題はこの映画のストーリーにある。男は女に、去年会ったことありますよね、とストーカーじみたナンパを繰り返すのだが、どうにも筋を理解するのが難しい。ふわふわと漂っている夢のなかの世界のようで、同じようなシーンを何度も繰り返し、最後まで観ると、なんとなく意味が分かったような気にもなるが、では説明しろと言われると、ひと言も言葉が出てこない。端的に言えば、意味不明な映画なのだ。

体調がいまいちで見に行くと寝てしまうというアドヴァイスも友人から受けていたので、昼前まで寝ていた土曜日の夜に映画館に行った。恵比寿ガーデンプレイスは電飾で飾られていて、おしゃれ感マックス。自分は服装的にも場違い感を感じながら、それでも映画館のロビーまでなんとかたどり着くと、ちょっとホーム感も感じることができた。ミニシアターのロビーって、なんか落ちつく。そんな状況で観た『去年マリエンバートで』だが、なんだか不思議な面白さが涌いてきたのだ。

意味ありげなんだけど、自分ではそのシーンの意味を解釈できない場面が続くのは、スペイン映画『ミツバチのささやき』も同じだ。しかし『ミツバチ』にはちゃんと現実に根を生やしている堅実さがあったのに対し、『去年マリエンバート』は夢の中というか幻想・妄想というか、ともかく現実のリアルさが欠けているのである。世界のない世界観映画と言ったら良いだろうか、夢と幻の幻想映画という趣きなのだ。私が件の友人に、意味の分からない映画だったと伝えると、2~3回は繰り返さないと理解できないよと返答された。確かに映画が終わった時、もう一度最初から復習したいと思った。だがしかし! この映画、レンタルDVDにはなっていないのである。AmazonではセルDVDが2,000円以下で買えるから買っても良いのだけれど、また映画館で上映される日が来るなら、観に行ってもいいと思った。

難解さに心地よさを感じるというか、どう心地よいかを説明しようとしても難解すぎて説明できないというか、でも観に行って良かったと思える満足映画でした。

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